ライブハウスのドリンクはテイクアウトで軽減税率を適用できるのか
突然ですが皆さん、、
消費税が上がる準備はできてますか?
軽減税率が適用されるかどうかは把握してますか?
消費増税、軽減税率に対しての理解を怠ると、危険かもしれませんよ?
2019年10月1日から、消費税が10%に引き上げられることが決定しています。
今回の増税では、日本で初めて「軽減税率」という制度が導入されます。
消費税が増えることは我々の普段の生活に大きな影響を与えます。
税金が回り回って我々の生活に返ってくると言えども、出費が増えることは間違いありません。
この記事を書いている恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )は京都でGROWLYというライブハウスを経営しています。
消費増税や軽減税率は、ライブハウスにも密接に関わります。
もちろん我々消費者にも重要なことですが、
ライブハウスを経営する人や、
ライブハウスをレンタルする人、出演するアーティストにも関係してきます。
そこで今回は、消費増税がライブハウスに与える影響をはじめ、
軽減税率についてライブハウスはどのような対応をすべきか論じていきたいと思います。
難しい話かもしれませんが、知らないと損しますよ!
レディゴォ!
ライブハウスのドリンクはテイクアウトで軽減税率を適用できるのか
ていうかそもそも消費増税って何?
軽減税率って何?
ライブハウスのドリンクはテイクアウトできるの?
テイクアウトしたら軽減税率適用されるんじゃないの?
順番に説明していこうと思います。
消費増税がライブハウスに与える影響
まずは消費増税について簡単に説明します。
冒頭でも書いた通り、2019年10月1日から消費税が10%に上がります。
消費税とは、全ての商品やサービスが取引されるときに適用される税金です。
ライブハウスで言うと、ドリンク代にも消費税はかかりますし、チケット代やホール代にもかかります。
ライブハウスは"内税(税込価格)"の文化が根強く、ドリンク代やチケット代は"内税"である場合がほとんどです。
チケットの値付けや現金のやり取りをスムーズにするために内税が広く用いられていると推測されますが、このためライブハウス関係者は消費税(や各種税金)に対する認識が甘い場合が多いです。
ドリンク代が税込500円の場合、消費税率8%の時は税抜き価格463円+消費税37円。
消費税が10%になると、税抜き価格455円+消費税45円になります。
ですので、消費税が8円上がるのと同時に、売上が8円下がります。
チケット代でも見てみましょう。
チケット代が税込2000円の場合、消費税率8%だと1,852円+消費税148円。
消費税が10%になると、税抜き価格1,818円+消費税182円になります。
34円の違いになってきます。
チケット代2000円、ドリンク代500円の場合、
ドリンク代とチケット代合わせて42円の増税です。
たった42円に感じるかもしれませんが、これは大きな違いです。
内税表示のため、販売価格を据え置く場合は、ライブハウスの負担が42円の増えるというわけです。
外税の場合は、消費税が10%に上がった分を消費者が負担します。
(消費税は消費者が負担するのが原則です。)
内税の場合は、販売価格を据え置く場合、増税分をライブハウスが負担しなければいけないため、経営を苦しめます。
このため、ドリンク代を600円(税込)に上げるライブハウスが多いのです。
軽減税率とは
そして今回の増税と同時に導入されるのが、軽減税率です。
ざっくり言うと、
「消費税が10%に上がると正直しんどいだろうから、食品と新聞の消費税は8%のままにしてあげるよ」
という制度です。
スーパーで買う食材や水、調味料等は8%のままです。
軽減税率は基本的に飲食物に適用されてますが、なぜか新聞も8%です。
(一説によると、新聞が反発を広げないために軽減税率を適用したのだとか。。信じるか信じないかはアナタ次第。)
日本では初の導入となるため、導入前からすでに混乱が生じ始めています。
飲食店で食べる場合は10%だが、出前やテイクアウト(持ち帰り)は軽減税率が適用され、8%になる
ということが、線引きを難しくし、そして今回のテーマとなった「ライブハウスでも適用されるのか?」などの疑問を生み出しています。
ハンバーガーをテイクアウトして外や家で食べると8%ですが、ハンバーガーショップの中で食べると10%になるため、ちょっとややこしいです。
同じ店から同じものを買って消費するのに、消費する場所によって税率が変わるんです。
今までにない決まりだけに、違和感がありますよね。
概念としては、「腹を満たすためなら8%だが、飲食を楽しむのなら10%」といったところでしょうか。
政府としては、反発を緩和するために軽減税率を導入したのでしょうが、混乱を招きそうです。
注意して欲しいポイントは、お酒や外食は軽減税率の適用を除外されてるところです。
軽減税率がライブハウスに適用される箇所はあるのか
さて、本題に入ります。
軽減税率はライブハウスにも適用されるのでしょうか。
チケット代やホール料金は、残念ながら軽減税率は適用されません。
消費税率は10%となり、一部チケット代やホール料金の値上げも行われるライブハウスも多いでしょう。
ドリンクはどうでしょうか。
原則として、ライブハウスは飲食店であるため、テイクアウトを認めていないところも多いです。
ファミレスやバーなど、ドリンクをテイクアウトできるところはほとんどないですよね。
しかし今回の消費増税・軽減税率導入をきっかけに、テイクアウト制度の導入を検討するライブハウスが出てきてもおかしくありません。
そこに問題はあるのでしょうか。
ライブハウスのドリンクをテイクアウトにすると軽減税率が適用されて安くなるのか
前置きが長くなりましたが、結論から言うと、ライブハウスのドリンクに軽減税率を適用させるのはかなり難しいと思います。
お酒はそもそも軽減税率の対象外ですので、飲食店で飲もうがテイクアウトして家で飲もうが適用されません。
反対にジュースやミネラルウォーターは、もしテイクアウトすることができれば軽減税率が適用されます。
しかし、軽減税率を適用するためには2つの障壁があります。
1,リユースカップなどを利用しているライブハウスが多いため、テイクアウトに適していない(お店側が認めていない)場合が多い
2,ドリンクの販売価格が内税表示のライブハウスが多いため、軽減税率分の値引きをすることが難しい
これらの理由から、テイクアウトするドリンクに軽減税率を適用するライブハウスはほとんどないと推測します。
ミネラルウォーターはペットボトルで提供しているライブハウスが多いため、持って帰ることが可能な場合は多そうです。(お店によって違います)
なので軽減税率が適用される可能性もありますが、2で示した内税表記であるため、その分の値引き処理をするのが難しいと言えます。
テイクアウト不可のお店ではテイクアウトができないのは常識なので、テイクアウト不可なライブハウスではテイクアウトできません。
例えばファミレスで、飲みかけのジュースをグラスごと持って帰っていいか?と言ってOKしてくれるお店は無いと思います。
お店によってルールが違うので、もしテイクアウトをしたい場合は、テイクアウト可能かどうかを確認するようにしましょう。
ライブハウスでお酒のテイクアウトができない理由はもう一つ
そもそも、軽減税率うんぬんの前に、ライブハウスのお酒はテイクアウトできません。
(できないところがほとんどです。)
ライブハウスは飲食店のため、お酒を提供することはもちろん大丈夫なんですが、客にお酒をテイクアウトさせるためには「酒類販売業免許」を取得する必要があります。
お酒を店内で飲ませる場合は飲食店ですが、お酒を持って帰らせるのは酒の卸売になるからです。
酒類販売業免許は、取得するための設備のハードルがありますし、そもそも取得しなくてもライブハウスは営業することができます。
(もちろん、酒類販売業免許を取得すれば、お酒のテイクアウトは可能になります。)
ですので、酒類販売業免許を取得してるライブハウスは全国的に見てもほぼ無いと思われます。
そのため、「お酒持って帰りたいからフタ開けないで!」ということは原則不可です。
これはお客さんだけでなく、ライブハウスのバースタッフも覚えておきましょう。
まとめ
私たちが生きていくうちに、社会のルールは変わっていきます。
私が物心ついた時は、消費税は3%だったと思います。
それが5%になり8%になり、ついには10%になります。
消費者にとっては、痛い出費に違いありません。
しかし、少子高齢化が進む日本が今後も住みやすい国であるためには、消費増税は受け入れるべきかもしれません。
(税金の使い方など、議論の余地は残しますが)
ライブハウスは"古き良き文化を守る"風習が多く残る場所です。
しかし、ライブハウスも社会のルールの変化には対応していく必要があると思います。
今回説明した通り、ライブハウスのドリンクはテイクアウトで軽減税率を適用されないところがほとんどだと思います。
軽減税率は適用されませんが、消費増税の方は全てのライブハウスが対応に迫られると思います。
疑問に思った人のわだかまりが少しでも緩和されれば、それがこのブログの"魔法"です。
関連記事です。
まずはライブハウスが飲食店であるということを理解して欲しいです。
ライブハウスを経営する上では、消費税の他にも様々な税金がかかっています。
少子高齢化がライブハウスに与える影響を考えてみました。
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