ライブハウスの受付・バーカンスタッフに愛想の良さは必要か
あなたが「また行きたい!」と思うライブハウスはどんなライブハウスですか?
音が良い、出演バンドが良い、ステージの高さがちょうどいい、駅から近い、、
様々な理由があると思います。
先日、松永健太氏( @kentamatsunaga )のツイートが話題になりました。
ライブハウスに来るお客さんは「音楽を聴きに来る」でも「ライブを体感しに来る」でもなく「幸せになりに来る」と思ってるので、ライブハウスのスタッフ(特にドリンク)の愛想の悪さは確実にそこに水を差すから、そこが理解出来ない人はライブハウスから身を引いた方がみんなが幸せになれるよ。
— 松永健太 (@kentamatsunaga) November 13, 2018
この記事を書いている恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )は京都でGROWLYというライブハウスを経営しています。
(松永氏とは面識はありません。)
松永氏のツイートで使用されていた「幸せになりに来る」という言葉は、とても素敵です。
弊社を立ち上げた時に作った企業理念に、
「我々の発信する文化に触れる・携わる人を一人でも多く幸せにする」
というものがあります。
松永氏の意見と共通する部分があります。
今回は私なりの解釈で、「ライブハウスの受付・バーカンスタッフに愛想の良さは必要か」というテーマの記事を書かせてもらいたいと思います。
今回は「受付・バーカン(バーカウンター)スタッフ」に焦点を当てます。
受付はチケット代金を受け取ったりするスタッフで、
バーカンスタッフはバーカウンターでドリンクを販売・提供するスタッフですね。
ライブハウスで働きたいと思ってる人、
既にライブハウスで働いている人、
ライブハウスに行ったことのある人、
ライブハウスに関わる全ての人に読んで欲しい記事です。
レディゴォ!
ライブハウススタッフに愛想の良さは必要か
なぜ、このような答えが明確な記事を改めて書くか。
それは、書く必要があると思ったからです。
松永氏のツイートのリプや引用RTにも、
「ライブハウスには音楽を聴きに行ってるのだから、スタッフの愛想の良さなんて必要ない。スタッフを見に行ってるのではない。」
といった意見が見られました。
意見は自由なものなので、こういった意見があってもいいと思います。
しかし、ライブハウス経営者としては「スタッフは愛想よくすべき」と声を大にして言いたいので書かせてもらいます。
スタッフの愛想がいいというのは必要条件であって十分条件ではない
ライブハウスに行く人の大半が、スタッフを見に行ってるのではありません。
しかし、好きなアーティストを見に行った時にスタッフの愛想が良くないと、せっかく好きなアーティストを見に行って幸せになった気持ちの一部が削がれてしまいます。
「スタッフの愛想が良い」というのは必要条件であって、十分条件ではありません。
愛想が良ければいい、というわけではなく、
お客さんの幸せな気持ちを削ぐ原因になるようなことはできる限り排除しようよ
とうことです。
今回は敢えて"スタッフの愛想"に焦点を当ててはいますが、それだけが「いいライブハウスの条件」ではないよ、ということです。
バーカンスタッフはお客さんと接する唯一の立場
このテーマを語る上で、ライブハウススタッフの役割(持ち場)を確認する必要があります。
持ち場を理解すれば、そのスタッフがどのように対応したらいいかが見えてくると思います。
【立場 : 誰と接するか】
- 店長・ブッカーなどの制作陣 : 主にイベンター(主催者) ※出演者の場合ももちろんある
- PA(音響)・照明などの現場陣 : 主に出演者
- 受付・ドリンクカウンターのスタッフ : 主に来場者
来場されたお客さんは、イベントを組んだ人や音響・照明のスタッフと直接会話したりすることはほとんどありません。
なので、お客さんにとっては、「アーティスト」と「受付・バーカンスタッフ」がそのライブハウスで接する人になります。
物販でアーティストと接することがなければ、むしろ直接対応するのは受付・バーカンスタッフだけになるかもしれませんね。
なので、バーカンスタッフの対応が良かったという事象は、そのライブハウスに対する印象の中で大きな割合を占めます。
全ての立場のスタッフが1日を紡ぐ
今回は受付・バーカンスタッフに焦点を当てましたが、そのライブハウスで働く全ての人が連動して動くことで、1つのイベントを作り上げます。
誰か1人だけが頑張ってもダメです。
1人がサボることによって、全てのスタッフの頑張りが水の泡になることもあります。
お客さんへの対応がいいと、アーティストが出演してくれる!?
受付・バーカンスタッフの頑張りは、単純に来場者への印象だけにはとどまりません。
来場者の好印象というのは、アーティストにも伝わるものです。
逆に、悪印象も伝わります。
どちらかというと、悪印象の方が伝わりやすいかもしれませんね。
直接アーティストに接することのない立場であっても、アーティストがまたそのライブハウスに出るかどうかの要因の一つに、受付・バーカンスタッフの対応は関わってきます。
直接ブッキングをするわけではない受付・バーカンスタッフの対応が、
アーティストが出演をOKするかどうかの判断材料の一つになり得るというわけです。
愛想良くしとけばいいわけではない場合もあるので注意
一つ注意して欲しいのが、「愛想良く」というのは「イエスマンであれ」というわけではありません。
ライブハウスによってルールやマナーは異なります。
ルール違反をするお客さんには、厳しく注意することが、他のお客さんの為にもなります。
ライブハウスが存続することも、大事なことです。
受付・バーカンスタッフでは判断に迷う場合は、店長やブッカーに確認することが必要です。
まとめ
ライブハウスの受付・バーカンスタッフに愛想の良さがどれだけ重要であるかということについて述べさせてもらいました。
来場者にとっては、店長よりもPAよりも、受付・バーカンスタッフが重要な場合もあります。
それだけの責務を負っている自覚も、スタッフには必要ですね。
受付・バーカンスタッフはアルバイトである場合も多いです。
他の職種に比べると、給料も低いかもしれません。
だからと言って手を抜かずに頑張ることが、そのライブハウスのためでもあるし、もしかしたら時給アップという形で自分に返ってくるかもしれません。
ライブハウスに行くのが好きだからライブハウスで働き始めた人の中には、
理想と現実のギャップについていけず、モチベーションが上がらない場合もあるかもしれません。
どうしても、外からと中からの景色は違います。
私は中の人間として誇りを持っていますし、やりがいがあります。
しかしそれが全ての音楽ファンに通じるかと言ったら、違うと言い切れます。
もしモチベーションが維持できないのであれば、松永氏も言うように「身を引いた方が」いい場合もあります。
外からの応援も、十分アーティストには伝わりますからね。
アーティストにとってもお客さんにとっても、ライブハウスがいい場所であり続ける為に。
全国のライブハウスの受付・バーカンスタッフの意識がちょっとでも良い方向に向かえば幸いです。
関連記事です。
最近ライブハウスの移転・閉店が立て続けに起きました。地元のライブハウスが、そこに在るという意義をもう一度考えて欲しいです。
ライブハウスに入る時に、なぜ1ドリンク代がかかるか疑問に思ったことはありませんか?
私が京都でライブハウスを経営している理由です。
続きはWebで。もしくはバーカンで。