こども社長の魔法のブログ

(株)ケイピーエス代表取締役角田恭平による音楽・ライブハウス・人生の読み物

少子高齢化がライブハウスに与えるのは悪影響だけではない

2020年には日本人女性の半数が50歳以上に。

2035年には男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚に。

2048年には日本の人口が1億人を割って9,913万人になる。

と予測されています。

 

こんばんは、恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )です。

 

日本は少子高齢化が進行すると言われて随分と時間が経ちました。

少子高齢化とは、出生率が減ったことで若者の人口が減り平均寿命が上がったことで高齢者の割合が高まることを指します。

 

実際、僕が20代前半の時(約10年前)は「就職難」という言葉を良く耳にしました。

しかし現在良く聞く言葉は「人手不足」。

明らかに、若者の人口が減っているのを肌で感じます。

 

少子高齢化はライブハウスにも影響を与えるのでしょうか。

 

このこども社長の魔法のブログでは、問い合わせフォームを設置しています。

そちらに、興味深いお問い合わせが届いたので、今回はその問い合わせに対する回答形式の記事を書きたいと思います。

 

少子高齢化はライブハウスにとって悪影響?

今後ライブハウスに行く人は減ってしまうの?

それを食い止める為にはどうしたら良いの?

そんな疑問を持つ方には是非読んで欲しい内容です。

 

レディゴォ!

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少子高齢化がライブハウスに与える影響

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ライブハウスもいわゆる客商売である以上、少子高齢化の影響は避けられないでしょう。

しかし、私たちライブハウスの人間はそのことをどのくらい受け止め、

どのくらい対策をしてきているかと問われると、ほとんどしてないと思います。

 

これを機に、認識を深め、対策を講じれたらと思います。

 

問い合わせフォームに届いた内容

はじめまして。突然なんですが質問させていただきたく問い合わせさせて頂きました。
私は卒業論文でライブハウスの少子高齢化によるこれからについてを書こうと思っているのですが、実際に今、ライブハウスの集客率はあがっていますか。もしあがっているとしたらその要因、逆に下がっているならその要因を何か考えがあればお聞かせ願います。
そして、ライブハウスは若者の利用者が多いと思いますが、少子高齢化社会で経営していく上で何が必要になってくると思いますか。
突然ながら長文失礼致します。返信頂けると幸いです。

広島県在住のA子さん(仮名)からお問い合わせ頂きました。

ありがとうございます。

 

卒業論文ライブハウスの少子高齢化について書こうとしてらっしゃるということで、若い学生がこういうことを考えてくれてるというだけでなんだか嬉しいですね。

 

ライブハウスの集客数はあがっているか

実際に今、ライブハウスの集客率はあがっていますか。

私が京都でライブハウスに携わって15年になります。

感覚的には「集客数は変わっていない」と感じます。

(集客率の"率"という言葉がどういう意図があるのか難しいですが、今回は単純に"集客数"ということで話を進めていきます。)

お客さんを呼べるバンドは呼べる、呼べないバンドは呼べない、というのは今も昔も変わらないと思います。

 

人気のバンドは一瞬でチケットソールドアウトしますし、学生バンドが友達をかき集めて100人以上入れる事は今も昔も良くある事です。

 

ただ、私がライブハウスに携わり始めるもっと前は、「高校生バンドの企画で300人入った」とか「コピーバンドのイベントでパンパンだった」という話を聞きますので、その頃から比べると減ったのかも知れません。

恐らく、その頃(20年ほど前)はバンドブームで、盛り上がり過ぎていたのかも知れません。

 

私が知ってるのはそのブームが去った15年前からですが、

15年前と比べて、ライブハウスの集客数は全体的には変わらない印象です。

 

集客に影響を及ぼしている要因

もしあがっているとしたらその要因、逆に下がっているならその要因を何か考えがあればお聞かせ願います。

昔と今を比べたら変わらないと回答しましたので、未来の事について考えてみたいと思います。

少子高齢化というテーマからちょっとズレるかもしれませんが、私は今後「生」としてのライブハウスの価値は上がっていくと思っています。

 

技術の進歩とともに、アーティストはMVを撮りやすくなりました。

映像や音源のWebへのアップロードも簡単になりました。

リスナーも受け取り方が容易になり、それに慣れる人も増えました。

昔と比べて、音楽やアーティストへのアクセスは容易になりました。

 

それと反して、生(LIVE)の価値は上がります。

  • アーティストと実際に会える
  • 同じ空間での一体感の共有
  • 同じ時間での想い出の共有
  • ライブハウスでの音響・照明・お酒での体感
  • 実物を見てのグッズ購入
  • アーティスト、お客さん、スタッフとの会話

etc...

これらのことは、Web上では決して味わう事ができません。(現在の技術では)

 

ここ15年での集客数は「変わってない」と感じますが、今後は「生としての価値は上がっていく」と考えています。

 

ロックを聴く年齢層の母数と地方格差

質問にはありませんでしたが、ロックを聴く年齢層の母数と地域格差について追記させてもらいます。

冒頭にもある様に、少子高齢化が進んでいるのは事実なので、ロックを聴く年齢層の母数は減ってると思います。

若者の数自体が減っているからです。

 

"母数"としたのは、ロックを聴く人=ライブハウスに来る人では無いからです。

明らかにロックを聴く人>ライブハウスに来る人ですよね。

 

但し、ロックを聴く人が減ってる事を実感はしていません

 

ただ、これは私が京都でライブハウスを経営しているからだと思います。

京都は日本でも有数の学生の街ですので、日本全国から京都に学生が集まって来ています

ロックを聴く年齢層の大きい割合を占めるであろう学生は京都に集まって来ているので、それを感じないのだと思います。

 

A子さんは広島県にお住まいとの事ですが、少子高齢化の影響は、地方の方が顕著に出ると思います。

(影響が出るのが早い?)

若者は都市部ほど集中する傾向があるので、都市部が少子高齢化の影響を受けるのは、地方に比べて遅いと思います。

 

少子高齢化社会で経営してく上で必要なこと

少子高齢化社会で経営していく上で何が必要になってくると思いますか。

難しいテーマだと思います。

私は恥ずかしながら、意識・対策は甘かったと思います。

しかし今回のお問い合わせでこのことについて考える良い機会ですので、ライブハウスが講じるべき少子高齢化対策をいくつか挙げてみます。

 

子連れでも入りやすいライブハウス作り

子供用の耳栓(イヤーマフ)があるとか、キッズスペースがあるとか、分煙されているとか、子連れ割引があるとか、、、

とにかく、ライブハウス離れの原因の一つは子どもだと思いますので、子連れでも入りやすい環境づくりが必要かも知れません。

 

GROWLYでは、子供用の防音イヤーマフの無料貸し出し分煙に関しては可能な範囲で対応しています。

キッズスペースを常に設ける事は難しいですが、子連れが多く来ると予測出来る場合は、スペースの開放は可能です。

※おもちゃやマット等は充実できていません。

※スペースはありますが、準備対応が必要ですので、イベントの主催者がキッズスペースを作りたいと希望した場合は、相談に乗れるという意味です。常備はできません。

 

ジャンルの多様化

若者向けのジャンルだけでなく、ジャズやクラシック等、年齢層を広げたマーケティングが必要かも知れません。

しかし現場に携わってみるとわかるのですが、扱うジャンルを広げれば広げるほど、メリットと同時にデメリットも生まれてきますし、何より難しいです。

 

今までと違う層にアピールする為には、楽器やイス等、設備も充実させる必要があります。

空気感や雰囲気も含めて、そのジャンルに特化したライブハウスに勝つことは難しい部分が多いです。

 

ライブ以外の営業

ライブハウスの基本の営業形態はライブイベントだと思いますが、それ以外にも用途はあります。

例えばGROWLYでは、今まで映画やスポーツの試合の上映、演劇、写真展示会等を開催した事があります。

他には、トークイベント、落語、フリマ、など、、

パッと思いつくだけでもこれだけありますし、もっと考えればたくさんあると思います。

ライブ以外の用途で使える様になれば、ライブイベントの集客が減った分の収益を補えると思います。

 

ライブハウス以外での収益の多角化

ライブハウスの設備を使う以外にも収益を上げる方法はあります。

例えば弊社で行っているのは、スタジオ経営、レーベル運営、グッズ製作、通販事業等です。

他にも、フェスの運営、レコーディング、MV製作、楽器の修理等、、、

バンド一つとっても、いろんなことでお金がかかりますので、それがオールインワンでできたら良いなと常々思っています。

 

色んな会社に分けるよりも発注を一本化した方が、発注する側のアーティストも楽な場合があります。

 

まとめ

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色々と書きましたが、色んな意味で「魅力のあるライブハウス」であれば、生き残る事は出来ると思います。

GROWLYもそうなるべく、頑張るべきですね。

 

日本に住む以上、少子高齢化は今後も進行するし、避けられない問題だと思います。

それはもちろんライブハウス以外の業種でもそうだと思いますが、

少子高齢化に対する意識、そして対策を講じる事は、今のうちから大切な事だと思います。

 

しかしライブハウスの希少価値は今後高まると思っているので、今後も良い場所であり続けられるように経営を続けていきたいと思います。

 

お問い合わせに関してはこの記事より早くメールで返信したのですが、それに付け加える形で記事にさせて頂きました。

A子さん、お便りありがとうございました。

 

こんな事を書いて欲しいとか、質問等ありましたら、お気軽にお問い合わせフォームまで書き込み下さい。

 

 

関連記事です。

ライブハウスの音がデカすぎるのも、もしかしたら客離れの原因の一つかもしれません。 

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以前も質問に対する記事を書きました。ちょっとテーマが似てますね。

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CDを買わなくても新しい音源を買える時代が来ましたが、それすら通過しようとしています。

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私が京都でライブハウスを続けている理由です。

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続きはWebで。もしくは現場で。