自然災害によるライブイベント中止は誰の責任か
"本日予定しておりましたライブイベントは、◯◯に伴う交通機関の乱れが予想されること、またお客様や出演者の安全を考慮し、中止する事を決定致しました"
今年は嫌という程、こんな感じの文章を目にしたと思います。
2018年は自然災害の年となりました。
自然災害とは
「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害」
と定義されています。
この記事を書いている恭平 a.k.a こども社長( @kyoopees )の経営するライブハウスGROWLYも、今年は天災(自然災害)の影響で6本ものイベントを中止せざるを得ませんでした。
正直、経営的にも大ダメージです。
本日2018年9月30日も、イベント中止を決定致しました。
引用RTにある通り、明日9/30(日)に開催予定だった
— 京都GROWLY (@Kyoto_GROWLY) September 29, 2018
UNMASK aLIVE 1st mini album "Blooms" Release Party
は台風の影響を考慮し中止となりました。
振替公演の有無は結論が出次第お知らせ致します。
ご了承下さい。 https://t.co/yy2tMttZuE
今回は私が主宰するレーベルDAYRIGHT RECORDSからリリースしたUNMASK aLIVEのリリースイベントだったのもあり、特に悔しいです。
天災によるイベント中止(キャンセル)は、誰の責任なのでしょうか。
そのイベント中止による被害は誰が被るのでしょうか。
中止という判断・開催という判断は、どちらが正しいのでしょうか。
今回はそういった判断が難しいポイントに斬り込んで行きたいと思います。
レディゴォ!
自然災害によるライブイベント中止は誰の責任か
イベント中止か開催かの判断は主催者に委ねられます。
主催者は総合的に判断しなければいけません。
開催を決定した場合に起きた損害や事故、
中止を決定した場合に起きた損害やクレーム、
その全てを受け止める準備をした上で判断しなければなりません。
2018年(平成30年)に弊社が受けた被害
今年2018年、GROWLYで開催予定だったイベントが天災により中止になった日程と原因は以下の通りです。
- 6/18(月)イベント中止 : 大阪府北部地震
- 7/6(金)イベント中止 : 平成30年7月豪雨(西日本豪雨)
- 7/7(土)イベント中止 : 平成30年7月豪雨(西日本豪雨)
- 7/29(日)イベント延期(デイイベントのみ) : 平成30年台風第12号
- 9/4(火)イベント中止 : 平成30年台風第21号
- 9/30(日)イベント中止 : 平成30年台風第24号
9月までで計6本のイベント中止(延期)です。
今までであれば天災による中止は1年に1本あるかないかくらいです。
正直、1年に6本は痛過ぎます。
さらに言うと、弊社では野外フェスへのフード出店も行っていて、
- 7/7(土)京都大作戦 : 平成30年7月豪雨(西日本豪雨)
- 7/8(日)京都大作戦 : 平成30年7月豪雨(西日本豪雨)
- 9/8(土)OTODAMA : 平成30年台風第21号
の3日程が中止となりました。
特に京都大作戦では、大量に仕込まれていた240(ニコヨン)のカレーが行き場を無くしてしまいました。
京都大作戦出店予定だったので、カレーが大量に余っております!笑
— CURRY&BAR 240(ニコヨン) (@currybar240) July 9, 2018
パキスタンカレー弁当(タンドリーチキン&副菜付き)をスーパー格安価格¥650で明日から出すので、皆様是非買っていって下さい笑
4つまとめ買いすると¥2000です!
お得です!ワンコインです!
コンビニ弁当より栄養あって美味しいよ! pic.twitter.com/7qRbnbK0SH
皆さんのご協力で2000件近くのRTをして頂き、多くの方に買いに来て頂き助かりました。
しかし、フード出店用に莫大な量を用意していたので、その全てを賞味期限に販売する事は難しく、泣く泣く廃棄した分もありました。
イベントの中止、及びフード出店の中止により、見込んでいた売上が無いだけではありません。
イベントであればブッキングや段取りなど、フードであれば材料や看板など、それまでに準備していた経費や労力が水の泡となります。
自然災害でライブイベントは中止すべきか
中止すべきか、開催すべきか。
この判断は本当に難しいなと、今年は特に思わされました。
本来であれば、イベントを開催する予定だったので、開催するのがスジです。
中止(または延期)という判断がイレギュラーなのです。
個人的には、どんな時でも開催したいと思っています。
開催か中止かを判断する時のポイント
上述した様に、基本的には開催すべきだと考えていますが、
何を基準に開催か中止を判断したら良いのでしょうか。
最近指標にしているのは、
- ライブハウスとしての機能を損なっていないか
- 最寄りの公共交通機関が、イベントオープン時とクローズ時に動いているか
の2点です。
この2点とも問題無いのであれば開催すべきだと思います。
どちらか1点に問題があるのであれば中止の可能性を考え協議が必要です。
※どちらか1点に問題があった場合に、中止すべき!と言いたい訳ではありません。
ライブハウスとしての機能を損なっていないか
ライブハウスの営業を正常に行う為には、
- 停電や断水等が起きていない
- スタッフが入り時間に会場に到着する
- 出演バンドが(最悪)本番までに到着する
この3点を満たしている必要があります。
逆に言えば、この3点を満たしている場合はイベントを行う事は(本来であれば)可能です。
最寄りの公共交通機関が、イベントオープン時とクローズ時に動いているか
お客さんがいてこそのイベントですので、お客さんが安全に来れる事・帰れる事が重要だと考えています。
特に自然災害による公共交通機関の麻痺の場合は、マイカーやタクシーを利用しての移動も危険である可能性も高いです。
GROWLYを例にすると、最寄り駅はJR二条駅と地下鉄二条駅です。
特に県外から来られるお客さんはJRを使う場合が多いので、JRを判断基準にしています。
なので、JRが通常通り運行しているかどうかは大事なポイントです。
ライブハウスが正常で、最寄りの公共交通機関が動いている場合は、ライブイベントは予定通り開催すべきだと思います。
ライブイベントが中止になった場合、キャンセル料はどうなるか
結構シビアなポイントだと思います。
判断基準としては上述した2点だとは考えますが、1点に問題があるからと言ってキャンセル料無しだとは言い切れません。
もし仮にライブハウスとしての機能を損なっている場合は、開催が不可能ですので、キャンセル料が発生する事は難しいかもしれません。
逆に、ライブハウスとしての機能を損なっていない場合、イベントを開催する事は可能です。
判断基準としては「最寄りの公共交通機関が動いているか」と書きましたが、あくまで判断をする場合の補助的な役割です。
天災は不可抗力です。
天災によるキャンセルでも、キャンセル料はかかるのが一般的です。
最近、「今回は天災によるキャンセルなので、キャンセル料を頂きません」というホテルの対応が話題になっていました。
これはこのホテルが良心的な対応をしているだけであり、
「天災によるキャンセルはキャンセル料を払わなくて当然というわけではない」
ということは認識して欲しいです。
(もちろん場合によります。)
「公共交通機関が止まって行けないのだから、キャンセル料ナシなのが当然じゃないか!」という意見は乱暴です。
イベントがキャンセルになっても家賃は発生しますし、見込んでいた売上もありません。
家賃の他にも毎月の支払いがあって、イベントを中止した分の支払いが安くなる訳ではありません。
見込んでいた売上が無いにも関わらず、その分は会社が負担しなければいけません。
実際、先日の北海道地震による風評被害でキャンセルが相次ぎ、このままでは廃業せざるを得ない旅館もあるという話を聞きました。
神対応したホテルも、1日の売上が無いくらいでは大丈夫だったかもしれませんが、それが続くとなると、経営に支障が出て来るでしょう。
天災によりキャンセルする場合、キャンセル料をどうするかは、災害のケースや契約の仕方により異なります。
主催者とライブハウスで協議する必要があります。
まとめ
ということで今回は、自然災害(天災)によるライブイベント開催有無に対してどう向き合っていくかということを記事にさせて頂きました。
今年の6本のイベントキャンセルと3本の出張フードキャンセルにより、経営的にも甚大な被害を受けました。
これを受け、
- 今後自然災害によるキャンセルにどう対応していくか
- キャンセルによる被害を受け止められる財務体質作り
が重要な課題であると感じました。
被害を被ったのは事実ですが、ピンチを乗り越えて成長していきたいと思っています。
イベントが通常通り開催されることが普通の事で、幸せな事です。
中止の判断も、開催の判断も、どちらも苦渋の決断です。
どちらの判断も、未来の事を考えての判断だと思います。
中止についても開催についても、自分の都合・価値観だけを押し付ける事は良い事では無いです。
主催者の判断を受け入れる事が、そのイベントに関わるはずだった人間の責務ではないでしょうか。
関連記事です。
災害当日のキャンセルは仕方ない事ですが、1日でも早く再開を願う事。それが、二次災害を引き起こさない様にする為に必要な事です。
今年は京都大作戦が中止になってしまいました。
開催1ヶ月前に書いた、大作戦に対する気持ちです。
災害の日は、自宅待機が一番安全です。
家でヒマでも、大丈夫。Amazonプライムビデオがあるからね。
続きはWebで。台風が過ぎたら、現場で。